叶わない約束

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叶わない約束

『明日11時、東陽高校前駅のホームに集合』 拓海先輩に号令を掛けられて、私は土曜日に高校の最寄駅のホームに降り立った。 休日とはいえ、普段だったら授業が始まっている時間帯。 そんな時間に制服ではなく私服でその駅のホームに立つと、何かいけないことをしているようで、そわそわした。 当たり前だけど、学生の姿はない。 登校時間とはまるで違う静かなホームで、私は落ち着きなく、辺りを見回した。 時計を見ると、11時まで後3分。 だけど拓海先輩と翔太の姿はまだ無かった。 2人を探して改札に向かう階段を登ろうとした時、ちょうど2人が上から降りて来た。 「あ、奈々美ちゃん」 拓海先輩が手を振ってくる。 2人は私の近くまで降りて来て、拓海先輩が先に「おはよう」と笑顔で挨拶してきた。 私は「おはようございます」と拓海先輩に笑顔で返してから、翔太を見る。 「お、おはよう」 そして翔太にも挨拶した。 まだ挨拶し慣れていないから、声がどもってしまった。 翔太は私の方を見なかったけれど、「おはよう」と小さく返してくれた。
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