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ーー面倒なことになったな。
ベルソーまで案内されながら、石垣は心の中で呟いた。隣にはミリがいて、案の定二人は注目の的だった。
容姿も相まって、今回みたいに普通の客が行き交う中の買い物は、目立ち過ぎる。
店舗に赴いて購入したいのなら、全てを貸切にする位の方がマシだ。
気分を良くしたミリは、更に腕を絡ませてくる。
普段なら即座に振りほどいているが、今ここで振り払うと、石垣本人にとってもマイナスになることを、ミリは理解した上で、そうしている。
群衆の目を利用しているのだ。
そしてまさに今、彼女がこの光景を見せたいと思っている人間が、目の前を通れば、上出来だった。
ベルソーでは、従業員達が整列して出迎え、ミリの全てのリクエストに心ゆくまで応じる。
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