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「駄目。」
追いかけようとした石垣の腕を、ミリが強く掴んで止める。
「放せ。」
石垣はそれをいとも簡単に振り払って、人垣の中へと走り出そうとした。
ーが。
「いいの?今あの子に会うことは、あの子のことを苦しめる事になるのよ。」
ミリの放った言葉に、ピタリと動きを止め、石垣が振り返った。
「ーーーどういうことだ?」
眉間に皺を寄せた石垣を、ミリは楽しそうに見つめる。
「ここは目立つから、車の中で話しましょう?」
本来は、一刻も早く沙耶を探しに行きたい所だったが、何かが起きているこの状況に、ミリが何かしら絡んでいることは間違いなさそうだった。
追いかけたい。
でも、ミリの言葉が引っ掛かる。
耳を傾けるべきかーー
一瞬逡巡したものの、結局はミリに向き直り、石垣は梟王を後にした。
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