例えばさよならを言うことが

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石垣が再び梟王へと走っていく背中を、ミリはルームミラー越しに見つめながら、歯噛みした。  「ーー絶対に許さないんだから。」 昂(たかぶ)る感情を押し殺すような低い声で、そう言うと、鞄からスマホを取り出す。 「ーーそう。私。うん、そう。あのね、お願いがあるの。」 繋がった相手に、ミリはごく親しげに話し始める。 ーー厄介な女。あの子が現れなければこんなことにはならなかったのに。どうして今更ノコノコと現れたのかしら。 心の中で呟きながら、ミリは諒と出会った頃のことを思い出していた。 実は日本からアメリカに来たばかりの諒と初めて顔を合わせたのは、学校ではなく、父親に連れて行かれたパーティーでの事だった。 行儀良く挨拶して、大人同士の会話を、ただじっと聞いてなければならないというのは中々の苦行で、疲れたミリが、父の許可をもらい、外の空気でも吸おうと移動した時。同じく父親に連れてこられていた諒が、一人気怠そうにバルコニーに寄りかかっていた。
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