例えばさよならを言うことが

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『……わ、悪い?』 振り向きざま、なんとかそう言うが、かなり態度悪め。心臓はバクバク。 しかし、諒は気にした風もなく、本を手に取ってぺらぺらと捲った。 『お前日本語喋れるんだな。』 目線は本に落としたまま、彼は少しも驚きもせずに言った。返事を求めているわけでもなく、独り言のように。 そして。 『なぁ……シンデレラの靴は、なんで消えなかったんだと思う?』 パタン、と本を閉じ、今度は、身体を捩ったまま動かないでいるミリの目を見て、そう訊いた。 『……え……』 唐突すぎて、言葉の出てこないミリにーというか、諒の視界に入っているという事実に、柄にもなくガチガチになっていたー諒は、やっぱいいや、と背を向ける。 『まっ…!!』 その後ろ姿に、慌ててなんとか声を出す。 幸いなことに、彼はもう一度振り返った。 目が合って。 『ま、魔法使いのっ、、プレゼントだったから……って聞いた……本当か、分からないけど。』 そう答えると、諒は、へぇ。と呟いた。 『じゃ、消えなかったのは、やっぱりわざとか。』
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