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あの時と同じように、ミリは遠退いていく諒の背中を見つめる。
初めて言葉を交わした後にもそうしていたように。
電話を切ってからミラー越しはやめて、振り返って、見つめ続ける。
振り返らないだろうか、何か声を掛けられないだろうか。掛けるとしたら、なんと言えば、彼は振り返ってくれるだろう。
諒に特別な女の子が居ると知った時、自分でも信じられない程嫉妬した。
その子が諒の前から消えてどこかに行ってくれたら良いのに。
何度思ったか分からない。
それが通じたのかどうかは知らないが、実際消えていた。
なのに、見つかってしまった。
諒が、見つけてしまった。
もう見えなくなった諒の後ろ姿。
それをいつまでもミリは見つめ続ける。
そして、忌々しげに呟く。
「シンデレラは本の中で大人しくしてて。」
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