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「どこ行くの?」
「ああ、えっと榊原さんに呼ばれていてーー」
沙耶が答えると、佐久間は驚きの声を上げた。
「え!?あのブリザード!?沙耶ちゃん大変ねぇ。何言われるのかしら。」
「はは、すごいあだ名ですね。」
沙耶が笑うと、佐久間は急に声を顰める。
「だってそうよ。今までも何人も辞めさせてきたんだから。だから沙耶ちゃんも気をつけなさいよ?」
「今迄……佐久間さんはいつからこちらで働いているんですか?」
「えーと、もう10年以上前になるかしらね。」
佐久間がそう言った時、エレベーターが到着を告げた。
「榊原さんが以前の社長とどんな感じだったか、とか知ってますか?」
開いた扉を前にしたまま、沙耶が訊ねると、佐久間は、当たり前よ!と沙耶の肩を叩いた。
「仲が悪かったのは、みーんな知ってるわよ!そのせいか、ここだけの話ーー」
佐久間は先程よりも更に小さな声で、沙耶に耳打ちする。
「先代を追いやったのは、榊原専務の仕業なんじゃないかって、陰で言われてるみたいよ。」
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