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大して親しくない大学の同期
大して親しくない知人が死んだ。
悲しくないのは僕が冷たい人間だからだろうか?
確かあいつとは、大学のときに飲み会で会ったんだと思う。
同じゼミのやつが入ってるサークルの主宰する、結構大人数が参加するコンパだった。
隣の席になって、少し話して、LINEを交換したんだ。
その後、大学の構内では何度か顔をあわせて、挨拶もしたし世間話もした。
飲み会に来ていたこともある。
嫌いではないが、そこまで接点がないし、共通の話題もない。
そういう相手を大学の連中は「友達」と呼んでいたけど、少なくとも僕の方から友情というやつを感じたことはない。相手はどうだか知らないけれど。
だから卒業後しばらくして、道端でばったり出会ったときにも特になんの感慨もわかなかった。
「久しぶり! 元気にしてる?」
実際のところ、元気だったかどうかなんて興味はないだろう。
それでもそんな時には、一緒に飯を喰いに出かけたりもするものらしい。
安い中華料理屋でハイボールを飲んで、餃子を突きながら学生時代の思い出を語る。
あの教授が、あのサークルが、あの友達が――
話題を探しながら喰う飯が、美味いはずはない。
そんな、その程度の相手だ。
そんな知人が、死んだ。
後頭部を殴って気絶させた後、首を切られ、手足をバラバラに切断されて。
僕の部屋の冷蔵庫に今、入っている。
指の肉を煮てみたが、あまり美味くはなかった。
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