猫とサクラ

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本当にやれやれだ。 雨に濡れた黒猫なんざ拾うんじゃなかった。 黒猫は一説によると幸運を呼ぶと聞いていたがとんだ疫病神だ。 俺は大きな溜め息を吐き出した。 「友利、咲良。よく聞け。本当に俺と雛人は何もしていない。・・・痕は付け合ったがそれ以上のことは本当に何もしていない」 俺のその言葉に友利も咲良も何の反応も返さなかった。 まあ、お互いに『返さなかった』と言うよりは『返せれなかった』の方がこの場合、正解だろうが・・・。 「友利先輩。要さんの言う通りですよ? 本当に何もありませんから」 そう言ってクスクスと笑う雛人に友利はチラリとだけ目を向けた。 ん? なんだ? 俺は友利の首筋に付いた痕に目を細めた。 友利と咲良は今日、ずっと一緒に居たのか? 俺はそろそろと咲良の首筋へと目を向けた。 ビンゴか・・・。 「・・・咲良」 俺はいつもよりだいぶ低い声で咲良を呼びつけた。 それに咲良はビクリと震えた。
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