猫のような蛇のような狼のような

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月洞 咲良(つきほら さくら)」 「はい」 変わった名前だと思った。 それと同時に強い縁を感じた。 黒の髪にあどけなさの残る顔が愛らしい。 なんつーか・・・そいつは子犬みたいな感じのヤツだった。 背丈は170ほどだろうか? そこまでそいつの身体は大きくなく、大人しそうなヤツだと思った。 繋いで飼うのにいいようなそんなヤツ・・・。 月洞 咲良・・・要チェック。 「遠野 春海(とおの はるみ)」 「はいっ!!」 ガキ・・・。 そう言えば聞こえは悪いが元気よく返事をしたそいつは純真そうなヤツだった。 地毛なのか染めているのかわからない明るい茶色の髪に弾けるような笑顔・・・。 ヒマワリ・・・。 花に例えるならそれだと俺は思った。(犬で例えるなら人懐っこいゴールデン・レトリバー。) それはそいつが長身なのもあっただろうが髪色と弾けるようなその笑顔の効果は間違いなく絶大だった。 遠野 春海・・・チェック。 「・・・最上 雛人」 教師はその名前を躊躇うように呼んだ。 それと同時にひそひそと声が上がった。 「・・・はい」 発せられたその声は小さかった。 なのにその声はよく響いた。 最上 雛人・・・。 俺はそいつを凝視した。
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