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「・・・パンダ・・・ねえ?」
俺はそう呟き、次のページへと目を馳せた。
『要さんはパンダ・・・好きじゃないんですか?』
そう電話越しに訊ねてきた咲良の口調と声音は不服気だった。
『可愛いとは・・・思うけど?』
俺はそう答えて笑んでいた。
『ですよね! 可愛いですよね!』
俺の返答を聞き、そう言った咲良の口調、声音は先ほどとは打って変わって明るく弾んでいた。
本当に咲良は・・・。
『・・・可愛いな』
そうポツリと言った俺に咲良は『本当に可愛いですよね!』と言い返してきた。
ああ。
本当に可愛い・・・。
『咲良が・・・だよ』
俺はそう言って一方的に電話を切り、深い眠りへと落ちていった。
見た夢は言わずもがな咲良の夢だった。
咲良のことを好きになったのはどうしてだったかな?
・・・駄目だ。
思い出せない。
いや。
別に思い出す必要もないことだ。
どうして好きになったかなんて重要なことじゃない。
好きだから好き。
『好き』の理由なんてそれだけでいい。
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