猫を知る

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「・・・もったいないな。お前・・・」 俺はそう言って布団を捲り、雛人の横に寝て小さな溜め息を吐き出し、眼鏡を外した。 はっきりとしていた視界がぼんやりと霞み、滲む・・・。 そんな視界が煩わしくて俺は目を閉じた。 目を閉じると同時にフワリと咲良の匂いがした。 咲良・・・。 俺はふーっと息を吐き出し、咲良とは違う匂いを見つけ、それの出所を目を閉じたまま探った。 ・・・雛人・・・か? その匂いの出所は雛人だった。 雛人のその匂いは咲良の匂いとは全く違っていた。 この匂い・・・香水・・・か? 俺は僅かに目を開け、未だ眠っている雛人をそっと抱き寄せた。 俺に抱き寄せられた雛人は『んんっ』と声を漏らしたものの目を開けることはなかった。 どうやらこの黒猫・・・余程疲れているらしい。 俺は雛人を胸に抱き、再び目を閉じた。 さっきは気づかなかったが雛人のその匂いは首筋から香ってきていた。 俺はその匂いを嗅ぎつつ雛人とともに眠りに落ちていった。
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