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「耳元でクスクスクスクスうるせぇな。暑苦しいから離れろ」
俺のその言葉に雛人はまたクスクスと笑った。
本当にクスクス笑いの好きなヤツだ・・・。
「もう少し・・・このままでいさせてくださいよ。人肌恋しいので・・・」
そう俺の耳元で呟いた雛人の声は僅かに沈んでいた。
「なぁ、雛人。・・・友利と何かあったのか?」
なんとなくそんなことを訊ねてみた。
それに雛人は『そうですね・・・』と声を漏らすとソファーの背もたれを軽く乗り越えて俺の横へとやってきた。
「友利先輩・・・抱きたいんですけど・・・抱けなくて」
・・・コイツ・・・ひょっとしてまだ?
「まだ抱いてないのか? 一度も?」
俺の問いに雛人は『はい』とだけ答えて深く重たい溜め息を吐き出した。
「・・・随分と悠長なんだな」
俺のその言葉に雛人は『ハハハ』と笑ったあと『違いますよ』と言葉を付け加えた。
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