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「ねぇ、お兄さんお一人?お隣よろしいかしら?」
青年の酔いが程好く回ってきた時に真横から甘い女の声がし、グラスを見つめていた視線を顔ごと向けると、いつの間にか長い艶のある髪をしたグラマーな女が隣の椅子に座り、青年を熱を帯びた瞳で見つめていた。
「…… 勿論喜んで」
青年は店の扉を開けた時に女が先に店内に居たのを見ていたが、離れた場所で一人静かに呑んでいたように思う。
──── そんな女の何かを訴える瞳の意に気付いた青年は、優しく微笑み返す。
暫くは時おりマスターを交え、三人で談笑していたが、何杯かグラスを空にした後に客の二人は一つの傘で寄り添いながらネオンの街に消えて行った。
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