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惡ノ皇帝"ヲ"ギャフン
空から流れる雨は、まるでさらさらと流れる小川のように冷たく繊細だが、窓を伝う水滴達は行き交う車のライトに照らされて真珠のカーテンのようにキラキラと美しい。
そんな外観をみせる店は中も洒落ている。
店内のBGMはクラシック曲、暗すぎない照明はどんな人物でも美しく見せる不思議な効果があり、物静かな雰囲気のマスターは聞き上手で、ついたわいもない会話をしてしまい、酒よりもマスターとの会話目当てに一人で訪れる客も多い。
…… が、この日は珍しいことに、カウンターに座る客は一人の青年だけだった。
カランッ。
マスターとの会話の間に幾度か青年の手の中にあるグラスの中の氷が傾き、乾いた音を立てる。
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