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意識してみると、ここが海沿いの街だとわかる光景が、ちらほら目に飛び込んできた。
宿屋の看板が幾つもあったし、店先にはやたら、浮き輪と、手書きで書かれたアイスキャンデーの文字が並んでいた。
車庫に小さな船が収まっている民家もあった。
逆に、ここに来るまでの道中で、どうして自分は海の存在に気づかなかったのか、不思議になるほどだった。
潮の匂いが次第に濃度を増してゆく。
微かに波の音も聞こえてきた。
いつか海水浴に来た時のような、独特の高揚感が心地よい。
暫くして、ようやく港に辿り着いた。
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