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知らない街だが、海がある方へとひたすらに漕いでいたので、不思議と迷うことはなかった。
夕暮れどきの近づいた港は人気がなく、ひっそりと静まり返っていた。
波止場に自転車を停め、海を眺める。
思い切り深呼吸をすると、苦しいほどに濃度を増した潮の香りが肺を一杯に満たした。
しかし、本当に誰もいないな…
辺りを見渡しても、あるのは目前のはだだっ広い海だけだ。
本当に田舎だな。
コンビニはあるんだろうか。
ぼんやり考えていたその時、波の音に紛れて微かに聞こえたのは、
ーなんだろう、人の声?
再度周囲を見渡してみても、やはり誰もいない。
砂浜の方から聞こえたような気がした。
久々に履くビーサンをペタペタいわせながら、浜辺の方へと向かった。
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