ガーデン・ピスト

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  社長はあたしに優しくしてくれる。   特別扱いと言うのではなく、同じ歳の娘さんがいるからだ。   所謂、親目線てやつ?   今日も顔合わせるなり、飯食ったか?と、尋ねてくれた。   ありがたいものだって、分かってる。   時々ウザイけど、親ってこんなものなのかな?て思う。   飯は食べたと答えると、ケーキとコーヒーのセットを出してくれたの。   ーが、ーーが!   社長の仕事の内容説明ははなから変だった。   「 まぁ、さぁ?君もまだ歳若いのに、   こーんなキナ臭くて、危なくて、殺伐とした、アコギな商売しているからさ? 」   「 社長!じぶーんで、それ、ゆう~ぅ? 」   モンブランをスプーンでわけながら、チラリ顔を見て応えたら、   相対する丸いテーブルの向こうで、   「 否定できるかね? 」   つらっと言う。   ……出来ない!   この会社の名前は アール・ピスト プロテクト & セキュリティ サービス。   日本語に訳すと、あーるぴすと警護と警備のお仕事ですって事。   世界の危険地帯の警護、警備を請け負う会社。要人警護とか、   帰国命令や警告が出た時の該当国出国までを警護したりする。   「 ……最後のアコギな商売を外してよ。……アコギな事やってんの? 」   18の時から、あたしは、この人に師事して仕事を覚えた。   詰まり、その銃とか、戦闘とか、守備とかをね。   「 そりゃあるさ。正義云々を言うつもりはないよ。   紛いな事だってやらにゃならん。   まさか、軍事作戦が全て正しく法律に則って遂行されている、   なーんて、思ってないよな?   軍事に法律は要らない。規律は必要だがな。   だからさ、キナ臭くて、危険で、殺伐、アコギ、て言うんだよ。   だーからさ、豪華客船に乗らない? 」   意味不明ー今までの会話で、なんでそーなる訳?      「 あ!!ブルーマーメイド!!!来たー、これーーー!! 」   話しには聞いていた。でも、常駐のメンバー決まってるし、   あたしには縁のない仕事だと、諦めていた。   「 欠員出たの? 」   「 その代わり、給料やっすいぞ。   だから、もっと稼ぎたいと申入れがあってな?   ローテーションで、夏と冬だけなんだが、   社員達にも慰安になるんじゃないかとな?」
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