上司の秘密

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 亮太がまた勝手に人のアイスティーを飲みながら、鷹揚にこちらを見下ろし、 「専務だな」 と言う。  見てもないのに、超能力者かっ。  グラスを置いて、立ち上がった亮太は、 「まあ、俺は一応、忠告したからな」 と言い、行ってしまう。  見ると、グラスは既に空になっていた。 「ちょっと、亮太っ。  お金払っていきなさいよ~っ」  ほとんど飲んでなかったのにっ、と叫んでみたが、聞くような男ではない。  ふと気づくと、携帯の呼び出しの曲が、いつも留守電に切り替わるタイミングまで来てしまっていた。  慌てて出る。 『カピバラのくせに浮気とは生意気だな』 と言う遥人の声がした。
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