4216人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
「自分が今、此処にこうしていることが」
「それは私もですよ」
「まだ、お前とこうして居られて。
自分の中に、長年しこっていた恨みもない。
不思議な解放感に、怖いくらい幸せなんだ」
那智は微笑む。
それはよかったです、と。
人を恨み続けるのは辛いから。
ましてや、相手が大好きだった人なら。
「あのとき、お前と出会わなければ、きっとこんな未来はなかった」
真っ直ぐに遥人は那智を見つめてくる。
「じゃあ、あのとき、あそこでキスしてた、桜田さんと梨花さんに感謝ですね」
と言うと、それはどうだかな、という顔をしていたが。
最初のコメントを投稿しよう!