遥人の結婚式 ―千夜一夜の物語―

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「桜田さん」 「なんだ」 「あの人が若い男の子に執着するのは、昔の貴方の面影を追ってるからだと思うんだよね」  急にそんなことを言い出した洋人を足を止め、振り返る。 「僕だって幸せになれるだなんて思ってないよ。  でも引かない。  負けないよ」  言い切る洋人に、かつての自分にあって、今の自分にないものを見た。  眩しく彼を見ながらも、素っ気なく、 「まあ、せいぜい頑張れ」 と言い、手を挙げた。  そのまま、そこを去る。
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