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那智はおのれの手を見た。
「でも、別に本当に好きとかじゃないから。
っていうか、そうやってあおって、その気にさせないでくれる~っ?」
「あおってその気になるくらいなら、好きなんじゃねえの?
ところで、あれはなんだ?」
下を通っていた淡い色の髪の、可愛い顔をした男子高校生がこちらに向かい、手を振っている。
満面の笑みを浮かべて。
「あれはなんだ?」
そう繰り返す亮太に、
「近所の子」
と言いながら、その子に向かい、手を振り返す。
彼は外していたヘッドホンをまた耳に当て、そのまま行ってしまった。
まずい。
今、亮太と居るところを見られたな。
あの人にチクられる、と思っていたところに、携帯が鳴った。
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