上司の秘密

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「もうバレましたから、来てください」 と言い終わらないうちに、遥人は店に入ってきた。  携帯を持ったまま、こちらを見て、遥人は言う。 「カピバラの癖に浮気か」 「浮気もなにも、私、誰とも付き合ってませんけどっ?」  っていうか、携帯もう下ろしたらどうですか、と言った。  会社で昼休み、ネットでカピバラの映像を見た。  温かい湯に並んで打たれながら、極楽、という顔をしていた。  確かに雰囲気似てなくもないような気もするが、あまり大きな声で連呼されたくはない。  そんなことを思いながらデスクで見ていたら、コンビニのお弁当を食べながら、横から覗き込んできた桃子が、 「和むよね~、カピバラ見てるとさ。  なーんにも考えてなさそうで」 と余計な一言を付け加えてきた。
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