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繁華街から、一筋ずれた裏通り
沢山のネオンが光る、ホテル街の一角で立ち止まった。
「 見て見て。 」
「 ホテル タイムマシーン だって。 」
「 うわっー!すっげー!!
原始時代?未来都市!とかある。
あっ!
THE昭和だって。
ベッドがクルクル回るぞ。
しかも、安っ! ここにしよう。 」
「 うん。 」
どこでもいいから、早く・・・。
そう心の奥で、呟いた。
「 あっ、そうだ。 」
ホテルの入口の階段の前で、
突然男が立ち止まった。
「 千春ちゃんさぁ。学生証か、免許証見せてくれない。」
「 えっ。 」
「 疑うわけじゃないんだけどさ。 」
「 見た感じ、もしかして、まだ高校生とか無しだよ。 」
「 俺、捕まっちゃうし。そう言うの、面倒くさいし。 」
「 あっ。はい。 」
千春は、小さなポーチの中から
運転免許証を取りだし手渡した。
「 何ぁーんだ。余計な心配だったか。 」
「 ちゃんと、21歳じゃん。 」
「 今度さぁ。制服のコスしてよ。絶対、似合うよ。」
相手に悟られない様にしていたが、
千春の鼓動は、大きく高なっていた。
客の男も手慣れているが、
奴らの方が、一枚上手だった。
偽造免許証、最近は精巧な完成品でも、
簡単に手に入る。
エレベーターを降りると、
目の前にその部屋はあった。
「 万博の間 (301号室) 到着!」
ガチャッ。
「 入って 」
「 はい・・・ 」
さびれたホテルの一室に、二つの影が消えて行った・・・。
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