暗闇

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「 はっ、はっ、 」 「 早く逃げないと、きっと追いかけてくる。 」 ネオン街の裏通りを更に抜け、 暗闇の中を一人走り去る少女。 「 はぁ、はぁ、はぁ、」 「 もう、大丈夫かな? 」 「 その先で、繁華街に出て人ごみに紛れよう。 」 50mほど先に、明りと人々が行き交う姿が微かに見えた。 「 夢中だった。。。 」 「 でも、どうしてこんなことに・・・ 」 自分がした行動を振り返り、高鳴る鼓動を感じていた。 3日前・・・・・・ 学習塾教室にて・・・。 「 あっーーーっ! 終わったぁーーーっ! 」 「 青春真っ最中の乙女が、なんでこんな時間までお勉強しなきゃなんないのっ。」 「 そうだね。 」 「 そうだねって。ちはる。 」 「 なんで、あなたはいつも、穏やかでいられるのっ。 」 「 このホッペに何か隠してるなぁ。 」 「 むぎゅぎゅーーーーっ 」 「 いたぁーい。詩織もうやめてぇーっ。 」 「 あはははっ。 」 「 ちはる、お茶でも寄ってく? 」 「 いいねっ。 あっ!ごめーん。 」 「 帰りに本屋さん。寄らなきゃだめだった。 」 「 えっ。今から? 急がないと閉まっちゃうよ。 」 「 うん。ごめんね。 」 「 OK。OK。その代わり、   3日後の夜は明けといてよ。    2組の男子と食事会すんだからねっ。 」 「 了解しました。詩織殿。 」 「 ヨシ!ならば、行ってよいぞ。 」 佐藤詩織。 中学時代からの同級生で、 一番の友であり、よき理解者でもある。 3日後は詩織がずっと片思いの彼と、 初めて身近になれる機会だった。 「 なんとか、してあげないと。」 「 取り合えず今は、問題集と参考書買わなきゃ。」 英語の成績が上がらず、塾の松井講師より薦められた 問題集と参考書をどうしても手に入れたかった。
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