突然の訪問者

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◇ 「今の人、専任秘書の上田さんだよ。」 車が出発し、隣に並んだ圭介さんがぽつりと呟いた。 「瑞稀様が社長に就任してからだから…俺より長いかもしんない、瑞稀様の傍らに居る時間。」 「そう…ですか。」 瑞稀様の隣がえらく似合う女性だったな… スラリとした手足に女性らしいボディライン。それを強調するわけでもなく、隠すわけでもない、ジャストサイズのスーツを身につけて。笑顔がこの上なく上品で、私も笑顔を向けられ、悪い気は全くしなかった。 ……出来れば居合わせたくなかった。 同じ空間に居るのが恥ずかしい…と思った。 「素敵な女性ですね…上田さん。」 「まあね。でも好みの問題だから。」 唇の片端をキュッとあげる圭介さん 「瑞稀様にとっては仕事上の良きパートナーなのは間違いないけどね。それ以上でもそれ以下でもなく。」 「仕事上の…。」 「そ、仕事上の。」 ……私はどうなんだろうか。 『それは、メイドとしてなの?』 前にネクタイを結ぶ話をした時そう言われた。 と、言う事は『私自身』を少しは求めてくださってるのかな。 「……。」 上田さんの綺麗な笑顔が頭に残り、消えない。 あんなに綺麗な人が『仕事上』でこんなにちんちくりんな私が…『私自身』。 そんな事ってあるのかな……? .
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