プロローグ やっかいな性癖

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あるメス犬は、 いかに自分の持つオス犬が すばらしいかを語ります。 自分をとても 大切にしてくれるのだと うっとりと幸福そうです。 そんな素敵なオス犬なら、 ぜひ一度、穴掘り遊びをしてみたい。 ストロベリーちゃんは そう思います。 またあるメス犬は、 いかに自分のオス犬が 身勝手かを語ります。 傲慢で我侭で 心優しい自分を 振り回すのだと メス犬は嘆きますが まるで不幸に酔っているようです。 そんなひどいオス犬と どうして別れないのだろう。 きっと 穴掘り遊びが素 晴らしいからだわ。 ストロベリーちゃんは思います。 だけど・・・。 と、 ストロベリーちゃんは 自分に言い訳をします。 わたしは一度だって 自分からオス犬を誘ったことなんてない。 ちゃんとしたメス犬がありながら、 いつも熱心に情熱的に口説いてくるのは オス犬のほうではないか。 わたしは誘いにのっただけだ。 なのにオス犬たちときたら! ストロベリーちゃんが 決して自分のものにならないと 知ったオス犬の変わり身の早さときたら! 突然オス犬たちは インランやら、スキモノやらと ストロベリーちゃんを 口汚くののしり始めるのです。 メス犬はメス犬で、 必ず自分のオス犬の言い訳を信じます。 いつのまにかストロベリーちゃんが 彼女のいるオス犬を 誘った悪者になっているのです。 いつも悪者にされて、 全くわたしは損ばかりしている。 ストロベリーちゃんはため息をつきます。 今までいろんなトラブルに 巻き込まれてきました。 誹謗中傷なんて序の口です。 オス犬にもメス犬にも 刺されそうになったことだってあります。 そのたび、 ストロベリーちゃんは思います。 どうせどのオス犬も一緒。 似たような穴掘り遊びしかできないんだから。 後後 面倒になることはやめよう。 ストロベリーちゃんは そう何度も強く心に誓います。 なのに…。 また新しいオス犬を見ると、 一体どんな穴掘り遊びをするのだろうと、 ストロベリーちゃんは 好奇心をおさえられなくなるのです。
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