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追いかけてきて後ろから強く抱きしめてくれた彼。
「人の痛みを失くしたのは僕かもしれない」
彼の頭に真上からドローンが墜落。
無機物と有機物の断片があたりに飛散。
世紀の大抱擁だったのに…
通行人ABCDEF…の流れは悲鳴とともに騒然とし始めた。
「確かに重荷だったんだ。僕の武器は言葉しかない。でも人の弱さを平気で踏みにじって言葉で弄んだのは僕だよね。冒涜だ。
悪かったよ。」
そう言い遺し倒れてしまった真っ赤な色。
この賑やかで色鮮やかな世界にもお別れなのね。
愚かなほどにいい人だったな。
彼は狂ってしまった頭を砕き、その肉体の中からすくっと立ち上がった。
「帰ろうか。迷子にならないように送ってくよ。」
私は頷いた。
何もそこまで、という境界は人それぞれだから。キャハ。
彼の人生を狂わせたとはあまり思わない。
私は1年3ヶ月の間騙されていたようなものだし、彼は狂ってしまった人生の一番最後を、情けの断片でちゃんと飾れたんだから。今度書き足せば?タクティクス100。キャハハハ。
言葉なんてさ、完璧じゃない。だって記号だもん。いくら数が増えたって、伝わった気分に安心するだけなのよ。分かっちゃった。
だから頭砕いた方が、断片がよく見える。
あ、ちょっと待ってて。あなたの壊れた中身覗いてからでもいい?
そしたら私だってもう少し、あなたの伝えたかったことが分かる気がするの。
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