積み重なるタイムライン

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待ち合わせはいつも本屋だ。 新宿なら、あそこの本店ビルの中。 超ローカル線の地元駅に本屋がないのはまあ仕方がないとして、ソコソコの駅なら大抵本屋が見つかる。 待ち合わせを本屋にすることに、経緯もない。どちらかが約束に遅刻しても立ち読みして過ごせるし、待ってる間に普段縁のないジャンルにも手を伸ばすチャンス。時間が全然苦にならなくて。 今日は今にも店じまいしそうな名も無い小さな書店にて。 立ち読みの隣からハタキで掃除する気配もなく静かなものだ。 そういえばこの間、横書きの小説があると知って驚いた。携帯小説発信か…。 若者向けのタイトルとフォントを手掛かりに、手当たり次第にそれっぽい本を開いて探す。 縦書きで思考するのと横書きのそれとでは、感覚が違う気がする。 絵本は既に横書きが主流。 公文書すら横書きの時代だから、今や小学校国語の教科書でも横書きレポートの書き方が載るくらいだ。 あったあった。横書き小説。 日本語の思考も欧米化してきた。縦書き文化の最後の砦はきっと、漫画の吹き出しなのかな。 なんて、平積みの最新刊コミックに手を伸ばそうとして、…もちろん立ち読みなんてできないラッピング仕様だってば。 キャハ。
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