13人が本棚に入れています
本棚に追加
ざっざっざと、駆け寄ってくる草履の音がした。
「ご両人!
先ほどは捜査にご協力いただき、ありがとうございました!」
声をかけてきたのは、さっきの与力だった。
「何だい。 あんたまた戻って来たのかい?
とっとと下手人を市中引き回しの刑にしちまえばいいのに」
振り向いた茅野が、蔵之介を見て突っかかる。
「それが実は、今しがた、その男を取り調べていたところ、妙な言い訳をはじめたのですよ」
「言い訳?」
「そうです。
〝俺ははめられたんだ。 濡れ衣だよ。
あの風呂敷は、今朝方、店に運び込まれた荷物に混ざっていただけで、見たこともない〟
かようなことを言い出して……」
「店? 荷物? 何のことだい?」
最初のコメントを投稿しよう!