枕絵

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外の路地では、既に大立ち回りが繰り広げられていた。 抜刀した蔵之介が、剣を構えている。 月明かりの下、すらりと背筋を伸ばして立つその姿は、日頃の子供じみた雰囲気とは打って変わって、凛々しき侍そのもの。 きりりと引き締まった表情にも迫力があった。 どこから集まったのか、永興の用心棒たちが刀を手にじりじりと蔵之介の周囲を取り囲む。 もちろん、永興自身も携えた小刀の切っ先を、目の前の蔵之介に向けていた。 用心棒のうちの一人が痺れを切らしたように、蔵之介に飛びかかって、ざんっ! あっけなく一刀両断にされる。 それが合図になったように、次々と蔵之介に襲いかかる屈強な男たち。 その攻撃を、まるで舞いでも舞うかのように、ひらりひらりと優雅にかわしていく蔵之介。 奇声をあげ向かってきた巨漢の敵を、軽くいなして、どんっ! 背中に刀の柄を叩きつければ、相手は物も言わずにその場に倒れ込み、そのまま動けなくなる。 ぴぃーっ! いけ! やっちまいなぁ! 蔵之介の活躍ぶりを喜んだ茅野が窓から身を乗りだし、口笛を吹いては、はやしたてた。 そんな調子で、ばたばたと相手が倒れていくので、多勢に無勢だったはずが、気づけばいつの間にか、蔵之介の前に残っている人間は、永興一人だけになっていた。
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