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「ふぅん。 ……で、これがあんたの描いた絵かい?」
役人たちが立ち去ったあとの部屋で、畳の上に散らばった紙を見つめながら、茅野が尋ねる。
「だったら何だよ?」
鬱陶しそうに茅野を見て返す月雲。
「えげつないねぇ」
「うるせぇよ」
茅野がふと視線を動かし、そばにあった紙に手を伸ばした。
「あれ? こっちのは永興殿の美人画じゃないの?」
「何だ? じじいを知ってるのか?」
「お得意さんだよ。 あたしの上客」
「あ、そ」
「お手本にして、描いてるのかい?」
「……そんなわけねぇだろ。 俺をなめるな」
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