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その長谷川が、今回の事件の見立ての判断が下せないという
報告をしてきたことが、鳴海は解せなかった。
『鳴海さん、長谷川です』
鳴海の耳に届いた彼の声は、
幾分緊張しているように感じられた。
「お前にしては珍しいじゃないか。他殺か自殺かもわからんとは」
『そう言わないでくださいよ、鳴海さん。
俺にだってわからないことはありますよ。人間ですからね』
長谷川の声音は、どこか自嘲しているようにも聞こえた。
だが、笑ってはいなかった。
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