偽装の心理 1

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「もし自殺ならば、刃物の柄をしっかりと握っているはずなんです。  何しろ自分の胸を刺すんですからね。  それも自殺にありがちな、ためらい傷も無しに、  何の迷いも無く一突きですよ。  それにしては、指紋がはっきりと出て無いんです。  つまり、握力が伴ともなっていないんです」 長谷川鑑識官は、ため息混じりに言った。 「つまり、こういうことか?  自分で自分を刺したのだとしたら、  刃物の柄をしっかりと握っていないと  おかしいということだな?」
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