海の家

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僕は、平日金曜日に会社の仕事を終えてから、職場の同僚と飲みに行くことになった。 会社から近い居酒屋に行ってビールで乾杯しながら食事をし、程よく酔ってお腹が満足したところで、その会は解散した。 何となく飲み足りないと感じていた僕は、1人で2軒目に行こうと考えた。 僕は、1人で飲み歩いたことはなかったけれど、そろそろ1人でも足を運べる行きつけの飲み屋を見つけたいと思っていて、今日は思い切って冒険してみることにした。 キャバクラは、お金がかかるので通うのは難しいと思って、実は以前からインターネットでスナックかラウンジを探していて、気になるお店を見つけていた。 僕は今日そのお店に行ってみようと思って、スマートフォンでナビしながら、お目当てのお店を探した。 そのお店は、少し細い露地に入ったところにあって、目立たないこじんまりとしたスナックだった。 少し緊張しながらスナックのドアを開けると、カウンターの中にいた女性店員さんが出てきて、 「いらっしゃいませ!  カウンターにしますか?  ボックス席にしますか?」 と質問されたので僕は、 「1人なので、カウンターでいいいです。」 と答えた。 おしぼりを手渡されて、 「お飲み物は、どのようになさいますか?」 と聞かれたので、 「焼酎お願いします。」 と答えた。 少しすると別の女性店員さんが焼酎とコップを持ってきて、カウンター越しに僕の前に立って話しかけてきた。 「いつも海の家に来ていただいてる方ですか?」 僕は少し驚いて、その女性の顔をよく見ると、いつも週末海に行ったときに昼食を食べる海の家の女性店員さんだった。 その女性は、海の家では髪を後ろで縛っていてメイクが薄い感じだけれど、スナックでは髪を下ろしていてメイクが濃い感じなので、その女性のことに気付くことができなかった。
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