成神《るじん》

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「え、ちょお前……泣くなよ…」 「ぬ?我が、泣いて…?あ…」 ほら、と俺が差し出したハンカチをシキオリは無言で受けとると、涙を拭った。(ついでに鼻もかみやがった。畜生) それでも止まらなかった。 透きとおったその涙は、朝日に照らされて光った。 美しく、儚く、光っていた。 「悪い…帰れないって、なんで?」 俺の()いに、シキオリは鼻をすすりながら答えた。 「我は神に“なった”と言っただろう?その前はな、織女星という星で機を織って暮らしていた んだ」 「織女星って…ベガ?」 そうとも言うらしいな、とシキオリが言った。
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