9人が本棚に入れています
本棚に追加
「え、ちょお前……泣くなよ…」
「ぬ?我が、泣いて…?あ…」
ほら、と俺が差し出したハンカチをシキオリは無言で受けとると、涙を拭った。(ついでに鼻もかみやがった。畜生)
それでも止まらなかった。
透きとおったその涙は、朝日に照らされて光った。
美しく、儚く、光っていた。
「悪い…帰れないって、なんで?」
俺の問いに、シキオリは鼻をすすりながら答えた。
「我は神に“なった”と言っただろう?その前はな、織女星という星で機を織って暮らしていた
んだ」
「織女星って…ベガ?」
そうとも言うらしいな、とシキオリが言った。
最初のコメントを投稿しよう!