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「その彦星は…」
人間にされたそうだ、とシキオリは答えた。
「そう…なのか」
「だからだ。我がここに来たのはそれが理由で、帰れないのもそれが理由」
意味不明なシキオリの発言に、俺は首をかしげた。
残念だ、失望した。とでも言うかのように、シキオリが大きなため息をつく。
まったく、出会って数時間の至極平凡な男に、一体なにを期待していたんだこいつは。
「察しが悪い奴だな。彦星とは似ても似つかん」
「当たり前だろ、別人なんだから」
「…それもそうじゃの」
フン、とシキオリが偉そうに鼻をならした。
「だから、その理由?ってやつ教えてよ。力に…なれるかもしんないし」
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