1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
そっか、みんなはお父さんからもお年玉もらえるんだ。
パパは今頃、どこで何をしてるのかなあ。
ちゃんと風邪ひかないようにマフラーに手袋、してるかなあ。
昨年いなくなったきり、一度も家に帰って来ていないパパのことを考える。
一方で、突然黙り込んだ私を気に留める子は特におらず、私の話題は一瞬で終わり、みんなは誰にお年玉をもらったかという話が続いていく。
そして本当の驚愕は、この後に待っていた。
「俺は、おじいちゃん二人と、おばあちゃん二人からもらった!」
やんちゃ坊主のヒロくんのその言葉に、私の思考が停止した。
『二人』って……どういうこと?
「えーいいなあ」
「私はおばあちゃんには、二人からもらったよ」
「俺はおじいちゃんだなー」
みんなの話題が変わらないうちに、戸惑いながらも私はその疑問を口にした。
「えっ、あのさ……ふたり、いるの?」
私のこの一言にみんなが一斉におしゃべりを止め、私の方に注目した。
両手じゃ数えきれないそこら中の瞳が全部、不思議そうにこちらを見ていた。
「何が?」
クラスのリーダー、カヨちゃんが怪訝そうな顔をしながら、みんなを代表して訊いてくる。
私はその問いに答えるべく、意を決して口を開いた。
「……おばあちゃんと、おじいちゃん」
するとカヨちゃんは目をまんまるにして、それからあっさりと回答を口にしてくれた。
「うん、そうだよ」
それを皮切りに、再びみんなが口々に喋り出す。
「俺はおじいちゃんだけ二人で、おばあちゃんは一人だけど」
「あ、うちもうちもー!」
「そ、そうなの?」
「ねえねえ、ハルちゃんは? どっちも二人いる?」
「え、いや、一人しかいないけど……」
「そうなんだー」
何かが、おかしい。
私はそう感じていた。
おばあちゃんやおじいちゃんって、二人ずついるものなの?
お母さんやお父さんはみんな一人ずつなのに、なんでおばあちゃんやおじいちゃんだけ、みんな二人いたり一人いたりするんだろう?
そのときの私にとってその事実は本当に不思議で仕方なかった。
最初のコメントを投稿しよう!