かわいそうなんかじゃないよ。

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  「おばあちゃんとおじいちゃんが、二人ずついるっていう子がいてね。  初めはなんで二人いるのか分からなかったんだけど」 「うん」  先を促すようにお母さんが相槌を打ってくれる。 「それでね。そっか、パパの分だって気づいたの……パパにもね、お母さんとお父さんがいるんだあって」  お母さんは私のことを優しくじっと見つめている。 「だからね、パパのお母さんとお父さん、元気にしてるのかなあと思って……お母さんの、お母さんとお父さんみたいに」  お母さんは、何も言わなかった。  私の目をじっと、じっと見つめるお母さん。  その瞳に映る私がゆらゆらと揺れているのに、私は気づいてしまった。 「……お母さ、」  何か言わなければとする私を遮るように、私の視界はベージュ色に覆われた。  お母さんの着ているセーターの色だ。  私は、お母さんの腕の中にすっぽりと収まっていた。  いつもは「食事中に立ち上がっちゃダメ」と言うお母さんが、自分からその決まりを破って私の隣にやって来ていたのだ。 「……ごめんね」  頭の上からぼそりと聞こえてくる、お母さんの声。  お母さんの胸に顔を埋めると、私の大好きなお母さんの匂いがした。  
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