101号室 土曜の朝

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「カナコちゃん、もう朝だよ。起きないと。」  光太が11時15分に声を掛けると、女は眠気による一瞬の間を置いた後、驚く程迷いなく起き上がった。 「あれ、私の服どこかな。」  この女はこういう朝のあるべき振る舞いをよくわきまえているのだ。相当程度には遊び慣れているのだろう。光太は内心ほっとしながら女が脱ぎ捨てた服の場所を指さす。 「お手洗い借りるね。」  確か165センチと言っていた女性にしては長身ですらっとしたその女は、もう服を着替え終え、ドアを開けて光太がまだ寝転がっているその部屋を出た。  幸いにも寝る前にコンタクトを外していたため至近距離で眺めている携帯の画面以外のほとんどのものはよく見えない。  女の表情も、化粧が落ちて崩れてしまったであろうその顔も。
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