3138人が本棚に入れています
本棚に追加
/298ページ
しゅんとしながら、宗助はちゃぶ台の前に座った。
あの日みたいに、ピンとした美しい姿勢で正座をして。
その様子に、ほほが緩んだ。
でもすぐに、ハッとしてそれを隠すようにキッチンに向き直る。
フゥッと息を吐いて、ジャガイモを袋から取り出した。
「ねぇ、宗助って、すごく姿勢綺麗だよね。正座する姿とかも……」
ジャガイモの皮をむきながら、宗助に問いかける。
「そうか? おそらく、剣道をやっているからだろう」
「へぇ、剣道なんてやってるんだ」
「唯一幼いころからずっとやっているな」
でも、なんとなくしっくりきた。
あの姿勢の良さ、まっすぐな逸らせない瞳。
簡単に宗助が剣道をしている姿を想像できた。
「お前はどうだ? 幼いころから続けていることはあるか?」
「そうだなぁ……うち、すごく貧乏だったから。ま、今もだけど。習い事とかしたことなくってさ……。あ、でも、部活はバレー部だった」
「バレーか。なるほど、お前らしい」
「そぉ?」
「ああ。背も高いし、そのさっぱりとした性格。体育会系な感じがしたからな」
「あー、それ、すごく言われる」
ごく自然にそんな話をして、ごく自然に笑い合っている私たちがいた。
楽しい……。
最初のコメントを投稿しよう!