第4話『絶対に好きにならない』

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翌日、私は早朝に家を出た。 そっと、宗助の部屋の前を抜き足差し足で通り過ぎ、見つかるまいとコソコソ出てきたのだ。 なぜだか、宗助を避けてしまう。 どうして私、会いたくないんだろう。 誰もいない社内。 椅子に座って、リクライニングに体を預け、ギコギコと揺れる。 天井を見つめ、ボーッと蛍光灯の本数を数えていた。 だけど、そんなのは最初だけで、蛍光灯の光の残像の中に宗助の顔が浮かんでくる。 そして、今度は宗助の言葉が鼓膜の中で再生される。 「あああっ! もう!」 体を起こして、今度はデスクにおでこを置いてうなだれた。 「なんで私、意識しまくってるんだろう……」 これじゃ、まんまと宗助の言葉にしてやられてる気がして、モヤモヤしてくる。 「……柳?」 と、その時――突然後ろから声がして驚いて振り返ると、そこには太一の姿があった。 「太一……」 「なんだ、お前珍しいな。こんな早くに」 太一がそう言いながら、私の隣の席の椅子を引いて座った。 「太一こそ、早くない?」 「俺はいつもこのぐらいの時間だ」 「へー……なんでまた?」 「営業って、やることいっぱいあるんだよ。遅くまで残業するより、早く来てやる派なんだって」     
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