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「そっか……大変だね、営業も」
「で、お前は? なんかあった?」
太一の穏やかな声に、何もかも話してしまいたい気分になった。
だけど、こんな複雑な事情、どうやって説明すればいいか。
「んー……ねぇ、突然好きって言われたら……どうしたらいいんだろ」
「言われたのか?」
「え……あ、いや! たとえ話だよ?」
「……そうだな。普通、好きって言われたら、その人が好きかどうか自分の気持ち次第で答えればいいんじゃないのか? お前も好きなら、そう伝えるべきだし。好きじゃないなら、はっきり断らないと、曖昧なのが一番傷つけるだろ」
「そう……だよね。普通そうだよねぇ……」
そうだ、もし友達に同じ質問されたらそう答える。
小学生の女子だってそう答える。
あまりにも長い間恋愛をサボってたせいで、こんな簡単な回答さえできなくなっていた。
恋愛偏差値、なさすぎ。
「でも……もしこれがたとえ話じゃなくて、本当の話でお前が告白されたんだったら」
そう太一がつぶやいて、突然立ち上がった。
「それは、嫌かもな」
「え……」
そして、太一はそのまま自分の席へと歩いていく。
「え……え?」
今のなんだ? なに? 今、太一『嫌かもな』って言った?
もう、頭の中疑問符だらけ。
……どういう意味?
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