第4話『絶対に好きにならない』

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そういうと、宗助が私の手を握って歩き出した。 「ちょっ……ちょっと!」 その手を、振りほどこうと思えばできただろう。 でも……、振りほどけなかった。あまりにも温かくて、優しくて。 なんだ、私どうしちゃったんだろう。 宗助に手を握られたまま、歩いていく。 宗助の背中って、こんなに男らしかっただろうか? 駅に行くまでの道、何も話すことができなかった。 ただ手のひらから伝わる宗助の温度を感じながら、黙って歩いていた。 宗助も、同じように黙ったまま歩いている。 ふと、少し先を歩く宗助の耳が赤くなっているのに気づいた。 もしかして……照れてる? 前に回り込んでまでそれを確認することはできない。 本当に照れているかどうかもわからない。 だけど、もし宗助の顔が真っ赤に染まっていたら……。 想像すると、勝手に口角が上がっていく。 って……何にやにやしてるんだろう、私。 駅までやってきて、改札を通る時に、手が離れた。 温かかった手の平が、外気にふれてひんやりと感じる。 電車に乗っても、お互い口を開くことなく黙っていた。 一たび口を開いてしまえば、きっと私は思い切り狼狽えるだろうし、気にしてないなんてフリできないと思ったからだ。 そして……宗助はどうして黙っているんだろうか?     
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