2 立ち読み・恋愛

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2 立ち読み・恋愛

「いらっしゃいませー、コーヒーどうぞ」 また来てしまった。まぁ今日は休日だからサボりではないけれど。 (来店者増えたなぁ) コーヒーを飲み終え、既に紙コップがいくつも捨てられているゴミ箱に紙コップを捨てて恋愛ものコーナーに足を運ぶ。 彼女に会えますように、そんな願いを込めて本を開く。 『あ、また会えましたね!』 「こ、こんにちは!」 周りの客たちが何かぶつぶつ呟いていて多少耳障りだったが、彼女に会えたことで僕のテンションは一気に上がっていた。 もう周りから変な目で見られてもいい。とにかく彼女との時間を楽しみたい。 『そういえばこの前テレビ見ました? ペット特集のやつ』 「見ました、僕猫大好きなんですよ!」 『私も猫派です! あの自由気ままなのが可愛いんですよね』 「そうそう、あと甘えたときの鳴き声とか……」 「お客さん」 不意に声をかけられ、思わず肩がビクッと震える。 恐る恐る横を見ると、呆れ顔の店員が僕と手の中の本を交互に見つめていた。 「閉店時間です。それ買うんですか?」 咄嗟に口から出たのは買います!の一言。 やはり、買わなければいけない気がしたのと、彼女との想い出を家に持ち帰れると思ったら買わずにはいられない。 このままだと本を沢山購入することになりそうだ。ならばしっかり働いて給料を貰わないと彼女との想い出を買えない。 僕は決意した。今まで以上に仕事に熱心に取り組む。 毎日立ち読みはするが、それは仕事帰りにしよう。 それから僕の人生は大きく変わった。 「お、最近営業成績よくなってきたな!遂にお前もやる気を出したか!」 「はい、今まですみませんでした」 やる気を出した僕の営業成績は見る見る伸び、会社の中でも一目置かれるようになった。 今日も仕事が終わり、書店へ向かう。 「いらっしゃいませ。毎日ありがとうございます」 「いえいえ」 店員と挨拶をしてコーヒーを受け取る。今日も客が多いな。 まぁそんなことはいい。さぁ、彼女との楽しい一時の始まりだ。 『あ、こんにちは♪』 「店長。うちも繁盛してきましたね」 「そうだな。やっぱコーヒーのお陰だな」 「そういや店長、いつもコーヒーに何入れてるんです?」 「あれはな、自分の理想の女性の幻覚が見える薬だ」 「なるほど!それで男性客が増えたわけですね!」 「その通りだ!はっはっはっ!」 「やりましたね!あはは!」
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