47人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
声をかけようとした源頼光は、
彼女が座っている血の池を見て仰天しました。
「目をおおう惨たらしさとはこのことよ」
彼女の股と内ももは失われ、
肉どころか骨までもが露わになっていたのです。
「源頼光さまとお見受けいたします。お願いでございます。私を殺して下さい」
なでしこと名乗る女が語るところによりますと、
さきほど手負いの人食い鬼が宙を飛んで来て、
目の前に降り立ちました。
鬼は、「傷を治すために血と肉をよこせ」と言うなり、
彼女を捕らえると肉を喰らい、
傷口から流れる血をすすったのです。
鬼はその最中、
かけつけた渡辺綱に首を切り落とされて絶命しました。
胴体は首がはなれた後、そこら中を走り回っていましたが、
しばらくするとどこかへ消えてしまったそうです。
最初のコメントを投稿しよう!