源頼光と四天王

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源頼光と四天王

夜が明けると、京では大きな騒ぎが起きました。 娘をさらわれた中納言が宮中に参内して、 姫を助けて欲しいと帝に泣き付いたのです。 これまで何人もの公家の姫君や女房が、 鬼神に連れ去られたという噂がありました。 ついに中納言家の姫君がさらわれるという、 一大事が出来(しゅったい)したのです。 当代一の武人、源頼光(みなもとのらいこう)が召されました。 帝から直々に命が下ります。 「鬼を退治し、姫君たちを救い出すように」 頼光は邸に戻ると、直ちに四天王を招集します。 「敵は丹波国の大江山に城を構える、『守天』という人喰い鬼。六十匹もの子分を従えておるそうな。さらった女達をはべらせて、夜ごと酒宴を開いていると聞く」 うわさには尾ひれが付くものです。 仁王丸と隠れ里の人々は、 人を喰らう恐ろしい鬼の一族にされてしまいました。 四天王の一人が進言します。 「国元の郎党を呼び寄せ、人数を集めて攻め込みましょう」
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