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仁王丸の闘い
仁王丸の予想は外れておりました。
渡辺綱は沢から桃子姫のあとを追って、
一人で廃寺に忍びこんでいたのです。
綱は鐘楼の陰にひそんで、様子をうかがっておりました。
一部始終を見ていたのです。
集落の実態を目撃し、姫君達の無事も確認しました。
仲間を守ろうとする仁王丸の決意を知ったのです。
なでしこが鐘楼のすぐ近くを通って、
廟堂へ向かうのをやり過ごしました。
「さて、戻って主人に真相を報告せねばなるまい」
そう思案しているところに、頼光の一行が楼門を叩いたのです。
今となっては戦いを回避することは出来ません。
守天が飛び、仁王丸が寺の奥へ走り去るのを見届けます。
綱はひそんでいた場所から出て、廟堂へと向かいました。
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