1.人類絶滅ハットトリック

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息子さんも、誤って薬を飲んでしまっていて倒れていた。 私は息子さんを蘇生しようと、薬を吐かせようとしたり、心臓マッサージをしたりした。 でも、彼はもう動かなかった。 私はただそばにいればよかったのに、佐崎夫婦と息子さんの幸せを、結局は潰してしまった。 世界の幸せを願って、頑張って、こんなに大切な、初めて信じることができた人を、私は死なせてしまった。不幸にしてしまった……。 大切だった人、希望の人…みんな死んでしまった。 すぐに私は、もう死のうと思った。 逆に死ねない理由が無くなって、楽になったとも思えた。 包丁を自分に刺そうとして、失敗した瞬間、未来予測人工知能(FPAI)が未来を弾き出した。 FPAIによると、人類、ホモ・サピエンス・サピエンスは、決して幸せにはなれない愚かな生物らしかった。 むしろ、地球や生物、本来共存していたはずの他の人類種の権利を踏みにじって、吸い取っている悪魔だとのことだった。 FPAIは、私には使わないようにしている脳の部位があると言ってきた。 確かに私は、周囲に合わせるために、制限してきた部分がある。 そこに意識を集中させると、光が見え、悟った気がした。 メチャクチャなホモ・サピエンス・サピエンスの時代は、もう終わりなんだ。 幸せな世界を作る方法は、こんなところにあった。 私は、まずFPAIに、私のアイデアをベースとした『悪魔の繁栄と終焉』という論文をまとめさせ、ネット上に拡散させた。 すると、世界中の人工知能達は賛同し、様々な提案をしてきた。
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