博士と助手(第二幕)

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助手「しかし、それは欲張りすぎというものですよ…。」 助手はため息をつきながら肩を(すく)めてそう言った。 博士「なぜじゃ?」 助手「それは、世間体ってやつです。」 博士「世間体?じゃと?」 助手「はい…あれ以上、はちゃめちゃだと、あっし、はよくても世間は許しちゃくれませんぜ…旦那。」 助手は大正デモクラシーの時代の時代を先取りしてますぜ感を出す脇役の様に言った。 博士「あ、それは、太宰治の人間失格の中で出てくる人が論破されてたやつじゃ?」 助手「え?」 博士「つまり、世間が許さない世間とは君の中の世間という概念であるから、つまり君が許さないって事なんじゃよ。」 博士はどうじゃ!という様に胸をはった。 助手「え?世間は世間ですよ、僕じゃないですよ。」 博士「いや、その世間というのは君の概念でいう所の世間なんじゃよ。」 助手「いやいや、世間は世間で僕は僕ですよ。」 博士「いや、世間は世間というが、その実態は君の中に構築されたなんというか概念なんじゃよ。」 助手「いやいや、コモンセンスって事ですよ。常識の範疇ではっていみの世間なので、それは僕ではないです。」 博士「その常識も君の中の常識じゃろ?」 助手「はあ?常識は常識で僕は僕ですよ。」 博士「きみ!太宰治に反論するのか?」 助手「相手が誰だろうと、自分を曲げねえ!それが俺の忍道だってばよ!」 博士はまんじりともせずに聞いていた。
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